オテル・デュー(神の宿)オスピスドボーヌ
城壁に囲まれたボーヌの旧市街は、半径400メートルほどの小さなものなのですが、きわだって目を引くのは、街の南側にある『オスピス・ド・ボーヌ』の建物の幾何学模様の屋根です。この屋根瓦は、黄色や赤・茶色とカラフルで、ブルゴーニュ風の文様を描くようにデザインされていてとても綺麗です。
この建物の誕生は1443年、当時のボーヌはブルゴーニュ公国の統治下でとても貧しく、貧困者や病人であふれかえっていました。それに心を痛めた財務長官だったニコラ・ローランと、彼の妻ギゴーヌ・ド・サランが、全財産を投じて貧しい人々や老人のための病院を設立しました。
しかし、治療費を払うことができないため病院を訪れることができず、ボーヌの街で行き倒れていく人の数は一向に減りませんでした。そこでニコラ・ローラン夫妻は、自らの所有するブドウ畑をその病院に寄付し、そこから作られるブドウからワインを造り、ワインを売った利益で病人に無料で治療を施こすということを始めました。
このことにより多くの人々は救われ、当時はオテル・デュー(神の宿)と呼ばれていました。この慈悲の精神に共感した王侯貴族やブルゴーニュのワイン生産者らも、自ら所有するブドウ畑を寄進したりし始め、病院が所有するブドウ畑は年々増え続け、病院はブルゴーニュ地方一帯にブドウ畑を持つようになったのです。その後、ポマール、ムルソーなどの各地で同じコンセプトの慈善施設が設立され、これらはまとめて「オスピスドボーヌ (ボーヌ慈善施設)」として広く知れ渡るようになりました。
栄光の三日間(Les Trois Glorieuses)
初めてブドウ畑がオテル・デューに寄付された1457年より400年間、そこで作られたワインは顧客に直接販売されていました。そして1859年からは、より多くの資金を捻出できるよう、公開の場においてオークションで買い手を決めることになりました。こうして、オテル・デューのワインが世に広く知られるようになったのです。その後、オークションは現在にいたるまで、毎年11月の第3土・日・月曜日に行われ続けています。
しかし1990年代後半以降、ボルドーの高級ワインの値段が高騰し、生産者や流通業者に富をもたらした一方、ブルゴーニュワインは低迷していました。2004年ヴィンテージのオスピス・ド・ボーヌの競売価格が下落すると、ブルゴーニュでは様々な議論が交わされるようになりました。その結果、2005年から競売会の運営をイギリスの著名なオークション・ハウスである『クリスティーズ』が取り仕切ることになります。
クリスティーズが行った最大の改革は、世界中のワイン愛好家が電話やインターネットを通じて、直接オークションに参加できるようにしたことです。その結果、平均落札価格が前年比11%増となり、より世界中の人々の関心を集めたのです。
オスピス・ド・ボーヌのオークションは、ワインオークションでは世界最大の慈善オークションで、世界中のワイン関係者や入札に参加するバイヤーなどでにぎわい、ボーヌとボーヌ近郊のホテルは1年前からいっぱいになるそうです。例年落札価格はチャリティー・オークションの色彩が強く、一般的なブルゴーニュワインの取引価格の2~3倍高い値段で落札されています。
このオークションの前日には、クロ・ド・ヴージョで「ブルゴーニュ利き酒騎士団」の叙任式があり、2日目はオスピス・ド・ボーヌでのワインオークション、3日目はムルソー村でのシャトー・ド・ムルソーでラ・ポーレといわれる昼食会が開かれ、この一大イベントは「栄光の三日間(Les Trois Glorieuses)」と呼ばれています。
落札価格は、その年のブルゴーニュのワイン価格に影響
1443年当初、ニコラ・ローラン夫妻のわずかな寄付畑から始まったオスピス・ド・ボーヌは、今日60ヘクタールもの畑を所有しています。現在では、その当時の薬品や医療器具を展示した医学博物館になり、一般公開されており、またワインオークションの会場としてよく知られています。
このオスピス・ド・ボーヌのオークションでの落札価格は、その年のブルゴーニュのワイン価格に影響を与えているといわれています。また、オテル・デューの入館料やその他の施設から生み出される収益、またオスピスドボーヌが所有するブドウ畑から造られるワインの収益のすべてが、今では近代化された建物に移ったオスピス・ド・ボーヌの病院の維持や、オテル・デュー博物館の運営に役立てられています。
ちなみに、現在のオークションでは樽単位での購入になります。そしてその慈善の心の現れとして、ワインのラベルに名前が記されるのです。
Information | |
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このワインはムルソー・シャルムの上部(シャルム・ドスュ)に位置する、0.55haの区画。この素晴らしい場所に広がる畑は、1904年にグリヴォー夫妻によってオスピス・ド・ボーヌに寄進されたそうです。このうち、38%のブドウ樹は1958年に植えられた古木であり、他の30%は1985年に、32%は1997年に植えられた木であるとのこと。ムルソーのプルミエ・クリュである「シャルム」は、その力強い味わいが特徴とされ、ムルソーをムルソーたらしめている「豊満さ」「華やかさ」が完璧に備えられた土壌だと評されていることからも、期待が高まるアイテムだと言えそうです。 | |
生産地 | フランス ブルゴーニュ コート・ド・ボーヌ地区 ムルソー |
商品名 | オスピス・ド・ボーヌ ムルソー シャルム プルミエ・ クリュー キュヴェ・アルベール・グリヴォー |
作り手 | ルイ・ラトゥール |
格付・認証 | A.O.C. ムルソー プルミエ・ クリュ |
生産年 | 2004年 |
色・タイプ | 白ワイン |
内容量 | 750ml |
本数 | 1本 |
味わい | 辛口 |
ブドウ品種 | シャルドネ 100% |
ガイドブック | -- |
飲み頃 | 今~ |
飲み頃温度 | 10℃~14℃ |
推奨保存環境 | 温度=8℃~12℃、湿度=70%~75% |
備考 | においが強いものと一緒にせず、振動は避けるように保管して下さい。 |